検索順位が思うように上がらないとき、「質の高い記事を書こう」とよく言われます。
けれど、その“質”とは一体何を指しているのか——言葉のわりに曖昧に扱われがちです。
特にSEOにおいては、「たくさん書けば上がる」「専門的な内容が強い」といったイメージが先行しがちですが、Googleはもっと根本的な視点からコンテンツを評価しています。
この記事では、Googleが公式に公開している情報やガイドラインをもとに、「検索エンジンに評価される“質”とは何か?」を整理していきます。
その上で、個人ブログでも実践できる具体的な工夫も合わせてご紹介します。
検索エンジン対策は、まず Google の視点を知ることから
検索エンジン対策、いわゆる SEO(Search Engine Optimization) は、テクニックや仕組みの“抜け道”を突くようなものだと誤解されることがあります。
けれど、Google が本当に目指しているのは、適切な情報を、必要としている人に、正しく届ける というシンプルな目的です。
だからこそ、検索順位を高めるためには、「どのように評価されているか」を探る前に、そもそも Google が何を大切にしているか を理解することが出発点になります。
検索結果の表示順は、単なる情報の並びではありません。
その背景には、このページは信頼できるか? 検索した人の意図に応えているか? といった、利用者の体験価値に関する視点 が組み込まれています。
Google は「良い記事」とは言っていない
「良質な記事を書こう」という言葉はよく使われますが、Google は “良い” という主観的な表現でページを評価しているわけではありません。
代わりに、役に立つかどうか、信頼できるかどうか といった軸で、その情報の価値を判断しています。
特に重視されるのは、検索意図との一致 です。
そのページを訪れた人が 疑問が解消された、この情報で十分だ と感じられるかどうか —— それが、結果的に検索エンジンからの評価にもつながっていきます。
検索品質評価ガイドラインという手がかり
Google はアルゴリズムの具体的な仕組みを公開していませんが、評価方針の理解に役立つ情報として、検索品質評価ガイドライン(Search Quality Evaluator Guidelines) を公開しています。
これは、Google が契約している評価担当者に向けた内部文書で、どんなページが信頼され、どのような要素が質を損なうか を具体的に示しています。
このガイドライン自体が検索順位を決定しているわけではありません。
ただ、Google が検索という体験をどう捉えているか、そして どんな価値を持つページを高く評価しようとしているか を知るうえでは非常に重要な手がかりとなります。
検索エンジン対策は、アルゴリズムの隙を突くことではなく、情報の届け方そのものをどう設計するか という本質的な問いでもあります。
検索エンジン対策は、アルゴリズムの隙を突くことではなく、情報の届け方そのものをどう設計するかという本質的な問いでもあります。
そして、その設計の中心にあるのが、Google が繰り返し言及している「質」という視点です。
次は、その“質”とは具体的に何を意味するのかを、Google の評価軸をもとに整理していきます。
引用:Search Quality Evaluator Guidelines – Google
質の高い記事とは何か?Google の観点から整理する
「質の高い記事を目指そう」。
これはあまりにもよく使われる言葉ですが、その実、何を意味するのかが不明瞭なまま、目標のように掲げられてしまうことがあります。
書き手のなかには、「丁寧に書いているつもりなのに読まれない」「具体的に何が悪いのかがわからない」と感じている人も多いはずです。
けれど、それは“努力が足りない”のではなく、「質」という言葉があまりに抽象的で、誰もその中身を教えてくれなかったからではないでしょうか。
このセクションでは、Googleが明言している評価の軸をもとに、「質」という言葉の意味をあらためて具体化していきます。
「質」は Google の視点で定義されている
Google は、検索品質評価の中で「質の高いページ」を定義する際に、主観や好みではなく、明確な観点をもとに判断していると述べています。
その評価軸として有名なのが、E-E-A-T と呼ばれる 4 つの視点です。
E-E-A-T:Googleが重視する4つの軸
- Experience(経験):実体験に基づいているか
- Expertise(専門性):その分野への理解があるか
- Authoritativeness(権威性):その情報や発信者が信頼に足る存在か
- Trust(信頼性):情報全体として信頼できる構成かどうか
この4つはすべて、「このページを読む人にとって信頼できるか?」という観点に収束していきます。
そしてこの信頼は、誰が、どんな立場で、どのように書いているかによって大きく左右されるものです。
つまり、必ずしも専門家や企業でなければいけないわけではありません。
実際に使った、実際に経験した、実際に悩んだ——そういった個人の一次体験が、E(経験)やT(信頼)に直結することも少なくありません。
読者と検索エンジンの評価は、意外なほど近い
「検索エンジンに強い記事」と「読者が満足する記事」は別物だと思われがちです。
けれど、Googleは「読者が何を求めて検索しているか」をアルゴリズムレベルで見ようとしている以上、検索エンジンの評価は読者の感覚にかなり近づいていると考えるべきです。
たとえば、検索結果に表示されたタイトルをクリックしたものの、
- 「思っていた情報と違った」
- 「表面的で、奥行きがない」
- 「似たような言葉ばかりで、読む意味を感じなかった」
こうした体験は誰にでもあると思います。
その“がっかり”をできるだけ防ごうとするのが、Googleの方向性です。だからこそ、読者の立場から見て誠実な記事こそが、“質が高い”と評価される可能性が高まります。
“質”という言葉に縛られすぎないために
「質の高い記事を書く」という目標は、きれいな言葉に聞こえるかもしれません。
けれど、それはページビューのためだけでなく、読み手との信頼関係を築くための設計に他なりません。
その記事は、誰のために書かれていて、どこまでその人の迷いや不安に応えようとしているのか。
そうした問いかけが、結果としてGoogleからも読者からも「質の高いページ」として評価されていく土台になります。
このあとでは、「質」を取り違えたまま努力してしまう落とし穴について、よくある誤解を整理していきます。
質」を取り違えたまま努力してしまう落とし穴について、よくある誤解を整理していきます。
信頼される記事をつくるために必要な“構造”と思考設計
「質の高い記事を書こう」と思ったとき、多くの人がまず内容や言葉づかいを意識するかもしれません。けれど、読者や検索エンジンから“信頼される”記事には、それ以前に共通して存在するものがあります。それが、情報の流れと意図が丁寧に設計されていることです。
ここでは、記事の質を支えるために、構成や視点の面から意識したい5つの工夫を整理します。
1. 読者の「検索意図」を具体的に捉える
検索クエリはただの言葉の並びではありません。
その背後には、「なぜそれを調べたのか」「どんな状態でこのページにたどり着いたのか」という文脈や感情が存在しています。
たとえば、「ブログ 質 高め方」というキーワードがあったとき、
単に手法を知りたいのではなく、「書いても成果が出ない理由がわからず不安になっている」状態かもしれません。
書き始める前に、この検索意図を言葉で具体化できているかどうかが、記事全体の軸を左右します。
2. ページの「役割」を最初に定める
この記事では何を解決するのか?読者が読み終えたとき、どんな状態になっていてほしいのか?
この問いに答えられないまま書き出してしまうと、内容が広がりすぎたり、読者の視点とズレたりして、結果的に“質が伝わらない記事”になってしまいます。
「このページは〇〇を目的としたもの」という一文を、まず自分自身のために書き出してみること。
それが、その後の構成や取捨選択の基準になります。
3. 読む順番を意識した「構成」を設計する
どんなに内容が充実していても、読者が“どこを読めばいいか”が分からなければ、価値は伝わりません。
構成は、「理解の順番」「共感の順番」「納得の順番」にそって整理する必要があります。
見出しの並びにストーリーがあるか。
各段落が次の話題へ自然につながっているか。
それらを丁寧に設計することが、読者の理解と信頼を支える構造になります。
4. 経験・根拠・背景をバランスよく入れる
信頼される記事には、主観と客観の両方が無理なく含まれているという特徴があります。
「自分はこう思う」だけで終わらず、「なぜそう思ったのか」「どんな背景があるのか」「他にどんな視点があるか」にも触れることで、読者が安心して読み進められるようになります。
とくに、体験や事例があることでTrust(信頼)とExperience(経験)に自然につながるため、E-E-A-Tの観点からも効果的です。
5. 「離脱の瞬間」を設計で防ぐ
どんなに良い記事でも、読者が途中で戻ってしまえば伝わりません。
その大きな要因になるのが、「最初は興味があったのに、途中で読む気が失せた」という状態です。
この“離脱の瞬間”を防ぐには、余白・視認性・情報のまとまりといった構成的な配慮が欠かせません。
また、「自分には関係ない」と思われるような言い回しや論理の飛躍も、離脱を生みやすくなります。
構成とは、ただ順番を決めることではなく、読み続けてもらうための設計です。
記事の質を高めようとするとき、どうしても内容や表現にばかり意識が向きがちです。
けれど実際には、「どう見せるか」「どの順番で届けるか」といった構造の設計こそが、信頼される土台になっています。
「読む人の立場から見て、自然に理解できる流れかどうか」。
その問いを手放さずに設計された記事は、たとえ派手さがなくても、静かに評価されていきます。
次はAIを利用したコンテンツ制作に関するGoogleの見解について触れていきます。
生成AIを使った記事に対してのGoogleの見解
生成AIが広く使われるようになった今、「AIで書いた記事は評価されないのでは?」と感じる人も少なくありません。
その背景には、「人の手で書いたものこそ価値がある」という暗黙の前提や、AIによるコンテンツは“薄くて不誠実”だという印象があるのかもしれません。
しかしこの問いに対して、Googleはすでに一定のスタンスを明確に示しています。
Googleは、検索エンジンとして「人々の検索意図に対し、正確かつ有用な情報を提供すること」を最も重要な使命として掲げています。
これは、コンテンツがどのように作られたかよりも、その内容が信頼でき、有益であるかどうかが評価の基準になるという考え方に基づいています。
実際、2023年2月に公開された Google Search Central Blog では、次のように述べられています:
コンテンツがどのように制作されたかではなく、その品質に重点を置く Google の姿勢は、信頼できる高品質な検索結果をユーザーに提供するうえで、長年にわたって有用な指針となってきました。
このことからも分かるように、Googleが見ているのは「誰が書いたか」ではなく、「その情報が信頼に足るかどうか」「読者のニーズに応えているか」です。
参考:
Google 検索セントラル|AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス
ただし、これは「AIコンテンツは問題ない」と楽観的に受け止めるべき話ではありません。
Googleは同じ文書内で、「ランキング操作やスパム的意図によってAIを利用するケースは、従来のガイドライン違反と同様に扱う」とも明言しています。
つまり、AIを使ったから評価されないのではなく、“信頼性を担保する工程を省いているコンテンツ”が評価されないのです。
また、Googleが掲げるE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の観点から見ても、単に情報を並べただけのAI生成コンテンツでは、それらの要素を十分に満たすことは困難です。
特に次のようなケースは注意が必要です:
- 実体験に基づかない一般論の羅列
- 根拠のない断定的な主張
- 信頼できる引用や出典が存在しない
- 書き手の立場や背景が読み取れない
AIの活用は、構成補助や下書きの整理には非常に有効です。
けれど、その情報をどう検証し、どう信頼に値する形で届けるかは、最終的に人の責任として残ります。
AIを使うこと自体が問題なのではなく、読者にとって誠実かどうか、検索体験にとって価値があるかどうか。
そこを見ているという点で、Googleの評価姿勢は一貫しています。
書き手として大切なのは、「AIを使うかどうか」ではなく、「どのようにして読み手の信頼を設計するか」を軸に据えているかどうかです。
まとめ|検索エンジンに評価される“質”とは何か
ここまで、「質の高い記事」とは何かを、Google の評価方針と実際の書き手としての視点から整理してきました。
検索エンジンにおける評価は、複雑に見えて、その本質はとてもシンプルです。
それは、「この情報は信頼できるか?」「このページは読む人にとって役に立つか?」という問いに、構造と中身の両面で応えられているかどうかです。
あらためて、質を支える軸を整理すると次のようになります:
- 読者の検索意図に応えているか
- 経験や根拠を交え、納得できる構成になっているか
- 情報の流れに無理がなく、安心して読めるか
- 装飾よりも誠実さと信頼感を重視しているか
こうした視点は、Google の評価基準であるだけでなく、読者との信頼関係を築くための土台でもあります。
記事の質とは、特別な表現力や専門性だけで決まるものではありません。
それよりも、「誰に向けて、どんな状態に導きたいか」という視点を持ち、そのために情報を丁寧に設計していく姿勢こそが、検索にも読者にも信頼される理由になっていきます。
もし、これから自分の書いた記事を振り返る機会があれば、
「このページは、ちゃんと“誰かのため”になっているか?」
そう問い直すだけでも、構成や視点が少しずつ変わっていくはずです。
書き手としての視点が変われば、届け方も、評価も、少しずつ変わっていきます。
次の一記事で、その変化を少しだけ試してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール

シミズヒサノリ|Trigger Log運営メンバー
広告会社でマネジメント業務に従事している40代。
30代前半のころから副業を始め、ブログ運用、広告運用、業務委託など複数の副業を経験。
現在の副業歴は約10年。
Web制作会社での勤務経験もあり、UX(ユーザー体験)を意識した情報設計・コンテンツ発信に取り組んでいる。
自分の経験が、誰かの「最初の一歩」の後押しになればうれしいです。